きいろいことり

ゆれるのきいろいことりのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる(2006年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

文句なし最高の日本映画です。
ゲボ吐きそうな地獄の空気、
言葉では説明できない空気の重さがあります。
見ていてめちゃくちゃしんどいですが
生活の中でたまに無意識的に感じる
見えない鎖のようなあの空気を
意識的に映画として描けるなんて、すごすぎます。
すべての場面において中に放り込まれたら怖くて泣く。

男女の心の鎖
家族の心の鎖
田舎の心の鎖
それぞれの思い込み、勘違い、すれちがい

複雑にがんじがらめに絡み合って
鎖につながれて抜け出せない。
本当に手錠をかけられてるのはだれか。
物理的に稔は手錠をかけられましたが
稔を檻の中にぶちこんだ猛も
稔によって心に手錠をかけられてる。
都会で成功して自由な人生を送っていても
心はどこかあの田舎に、あの吊り橋につながれている。

人間という生き物は
社会の中で他人と照らし合わせないと
自分の形を認識できないから
生きるために社会という鎖につながれなければならない。
自分自身が社会という共同体で鎖につながれて生きる囚人だということを
この映画はまざまざと示してきて、しんどい。
その関係を鎖と見るか絆と見るか(笑)
あまりにかなしいせかいなので絆には見えない。鎖。

稔はバス乗れたかなぁ。
わたしは乗れないと思う。
35年間ずっと田舎にいて、7年ムショにいて、
42歳?から単身で田舎出られるかな。
稔のような人物が。
故郷の、家族の、鎖を断ち切れるか?
家に帰ることもいいと思いますけど。
帰ることのできる故郷、家族がいることはありがたいことなので。

オダギリジョーのようなものすごいイケメンで
都会でカメラマンとしてて成功してる人に
ああやってじゃれられたら、たいていの女は
多少は心縛られると思う笑 危ない。
都会でたくさんの人種に触れてたら
あのようなヤリチンには愛されないのはなんとなく分かるので
関わらないか関わるにしてもサラッとするかできたろうに
田舎にずっといてしかも過去に絡みがあったらかなり厳しいですよね。
猛への執着のためにか田舎から脱出したくてからか分かりませんが
この世から脱出してしまった智恵子にも同情してしまって辛かった。

オダギリジョーレベルのイケメン度をもった猛のような人間には
関わらないほうがいい。すべて奪われることになるから。
と思ったのでマイナス0.2にしました。

田舎、故郷の鎖より家族の鎖より、
あのレベルのイケメンに愛されるという幻想の鎖がいちばんこわい。

イケメン怖い。
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