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ラヂオの時間のおーたむのレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
3.6
テレビで流れてるとチラチラ目に入るけれど、なんだかんだでしっかり見たことがない三谷幸喜監督の映画デビュー作を鑑賞。
なんだかすでに三谷節全開ですね。

正直私は、笑えるというよりイライラさせられる場面の方が多かったし、とってつけたようにいい話風に終わったのにも、相当無理を感じてしまいました。
生放送のラジオドラマの脚本が、その場の都合で書きかえられていくというアイデア自体は、ユニークで面白いと思います。
ただ、この場合、出来上がっていくドラマが、改変を重ねてもなおギリギリ破綻のないものでなければ、単なるドタバタ劇になっちゃうような気がして、なんとも…。
すでに破綻している作品を無理やり成立させる意義というものがイマイチ理解できず、なんだかシラケて見てしまいました。
本作の本質が恨み節なのか、自作品の質についての言い訳なのか、はたまた業界に対しての皮肉なのかわかりませんが、恨み節なら余所でやってほしいし、言い訳なら論外だし、最大限好意的に受け取って皮肉だとしても、中途半端のように感じます。
日本アカデミー賞を取った脚本と相性が合わなかったのは、残念でした。

ただ、当時すでに名の知れていた三谷監督作品だけあって、キャストはとても豪華。
しかも、何人かのキャストはまさに全盛期を迎えるタイミングで、彼らが映るだけで画面が華やいでいたのは間違いないです。
唐沢寿明は単純にかっこいいし、奥貫薫は単純にかわいいし、役柄は別として、西村雅彦もシュッとしてて魅力的。
鈴木京香なんか、持ち前の色気にキュートさがブレンドされて、エロいこと…もとい、えらいことになってました。
カメオ出演にもビッグネームが使われたりして、贅沢この上ないです。
お祭り映画のつもりで作ったのかどうかは知りませんが、お祭り映画としては十分満足のいく作品だと思いました。

ということで、良くも悪くもスターパワーの偉大さを感じさせる作品だったな…というのが、見終わっての率直な感想。
とはいえ、敷居が高くないのはたしかだし、(好みはさておいても)もはや三谷監督の作風ってオンリーワンでしょうし、もう少しいろいろ見てみようとは思いました。
私も「古畑任三郎」シリーズは面白く見ていたので、映画の方でも楽しめる作品があるはずだと、期待することにします。
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