ロビン

沈黙 SILENCEのロビンのレビュー・感想・評価

沈黙 SILENCE(1971年製作の映画)
3.5
スコセッシ版を観たら、やはり篠田正浩版と比較したくなり鑑賞。
この作品を観るとスコセッシ版が、登場人物の心理描写等がいかに丁寧に作られているかが分かる。(尺の関係もあるかもしれないけれど)
それと展開が早過ぎてスコセッシ版観てなかったらちょっと理解できないところも多々ある。
そして最大の違いは切支丹に対する拷問の描写。
スコセッシ版はその拷問の残虐や凄惨さをまざまざと描写しているのに対して甘過ぎる。
なので、弾圧されている切支丹の人達に対する同情心的なものが湧き難くて感情移入がそこまでできない。。
それと、先に日本に来て棄教していたフェレイラ役が何故か日本人の丹波哲郎。
これはちょっとギャグなのかと思ってしまって最初笑ってしまう。
しかしながら、圧巻の演技にもう丹波さんでいいんだと思うようになるから不思議。

日本版では日本の村人達がほとんど英語が喋れない。
それが普通だと思うのでスコセッシ版はみんな英語を話せ過ぎる。
逆に日本に来た二人の宣教師が日本語を話せ過ぎる〜笑
何言ってるのか聴き取り難いけど。
それとフェレイラとロドリゴが二人で話してるのに、ほとんど日本語で話してるのが違和感。
そこは英語だろ、ていうか本当はポルトガル語だろとまでは言いません。

また、キチジローの描写に関してはこちらの作品に軍配が上がる。
女郎とのやり取りなんかキチジローの心の弱さや葛藤を見事に表わしていた。
キチジローは踏み絵に唾を吐けと言われ唾を吐く。
そのことの後ろめたさと後悔から、女郎に唾を吐きかけてくれと頼むシーンがあるのだけれど、ちょっとそれは変なプレーに見えてしまう~笑
それと女郎役の三田佳子がとにかく美しい。
監督の篠田正浩には悪いけど、キク役の岩下志麻より断然美しい!

そして、ラストはスコセッシ版とは全く違う。

【ネタバレ】
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個人的には、ラストにロドリゴがキクを抱いた瞬間に完全に転んだんだなと思った。
そして、キチジローがそれを見てるところで終わるっていうのも良い。
ロビン

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