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東京物語のyoko45のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
 普通の家族と人生の話を抑揚なく淡々と穏やかに見せつけられる、身につまされる感じです。子どもから大人へ自立、希望に溢れ配偶者を得て子の親になる、子どもの将来に夢と期待を抱く、山あり谷ありの子育てと家族の生活、そしてまた子どもの自立、いつしかできる親子の距離。
 そろそろ子どもに会っておこう(尾道から東京へ)、こうなりますよね、周吉(笠智衆)とみ(東山千栄子)夫婦の荷造りが微笑ましいです。
 長男(山村)長女(杉村)はそれぞれ家庭と仕事を抱えて忙しく、親を東京案内できずに騒がしい熱海温泉を両親にプレゼント。せっかくの温泉宿で眠れない周吉・とみ夫婦の姿が何とも言えません。
 そして戦死した次男の妻・紀子(原節子)、実の親でもないのに精一杯のおもてなし、たいしたことはできないけどアパート隣の家からお酒など借りて・・。
 そろそろ帰ろう、すっかりやっかいになったし・・あきらめか、それとも足ることを知る心境でしょうか・・。
 虫の知らせ、母とみの危篤、子ども達は電報を受けても半信半疑、亡くなってからでは親孝行は間に合わない。
 長男・長女・三男と次女の京子(香川京子)との距離感、離れて暮らしていたものと一緒に暮らしていたものとの明らかな温度差。
 この映画を観ると離れている大切な人に電話したくなります。
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