財産を全て失わなければ、大切なものに気付けなかった、というのは愚かだけど、そこからの姿勢が大事なんだよね。
なんてことない選択が自分自身、そして周りを苦しめる結果になるなんて思いもよらず、大切なものをポロポロと落としながら歩いていく彼はそれでも生きていくんだと、生きていくしかないんだと思い知らされた。
個人的には、奥さんがもう少し夫の気持ちに寄り添おうとしてほしいと思ってしまった。冒頭部分は主人公の自業自得なだけに擁護できないけど、命からがら帰ってきたのに「手紙くらい……」と責められたり、息子を学校に行かせた夫が元凶といわんばかりの物言いをされたりするのは辛い。
ただ、激動の時代を生き抜くには、彼女自身もいっぱいいっぱいだったんだろうなぁ。
最初は壊れかけた関係だったけれど、見終わる頃にはちゃんとお互いが支え、支えられながら生きている夫婦になっていた。