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ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カットのmasaのレビュー・感想・評価

4.0
サム・ペキンパー監督の不朽の名作。約2時間半。1969年製作。
20世紀初頭のメキシコを舞台に滅びゆくアウトローたちの姿を描いた傑作西部劇。
時代の波に取り残された無法者たちの滅びの美学。
西部劇に引導を渡した「最後の西部劇」と呼ばれている。

冒頭の子供たちがサソリを蟻の群れに殺させて遊んでるインパクトあるシーンで、これから起こりうるだろう殺伐としたストーリーが想像できる。この冒頭のシーンだけでも妙に名作感が漂ってくる。

アメリカ・テキサスでの銀行強盗に失敗したパイクら強盗団はメキシコに逃走する。
旧友ソーントンら賞金稼ぎに追われる中、メキシコ政府のマパッチ将軍の依頼で米軍用列車から武器を強奪するパイクたちだったが、マパッチの裏切りに遭い、仲間を人質に取られてしまい……

終盤の引き回しの刑がとても恐ろしい。何が恐ろしいかと、あんな残酷なシーンなのに陽気な音楽と、周りの庶民たちの明るいムード。
冒頭の虫が蠢くシーンとオーバーラップしてくる。
所詮人間など虫たちと何らかわりない残酷な生き物である。

その中で、ラストのアウトローたちの生きざま、滅びの美学が生きることの意味を考えさせられる。
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