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少女ムシェットのpikaのレビュー・感想・評価

少女ムシェット(1967年製作の映画)
5.0
これぞブレッソン!痺れ倒した。
カットひとつひとつが丁寧で繊細でカットが切り替わる度に脳ミソぶん殴られる衝撃。
散りばめられたメタファーがモデル達の無表情に感情を与えるかのように物語を展開させ、目から始まり身体中熱くなってくる。

エンタメ性とは真反対のストーリーや、感情を表現するための削ぎに削いだ演出、徹底したリアリズムは、映画でなければならないくらいに映画である必要性があり、虚構の物語にリアルな質感を感じさせるブレッソンの独特な演出が、画面のこちら側で傍観するしかできない観客の目線さえも演出にしてしまう。

ブレッソンの映画に惹かれてしまうのは2017年の現代にあるIMAXや4DXなどの最新技術を駆使しても到底敵わないくらいに観客を映画の中に参加させてしまうからか、映画を形成する要素をこれ以上ないくらい満遍なく使い、完璧と言える完成度なのに、いやだからこそ観客という存在を映画を形成させる最後のピースにしてしまうのかもしれない。

ハンパじゃない。物語のリアリティ然り、映画という存在そのもの全部が凄い。
ラストシーンの秀逸さ、その違和感が生む余韻!
完璧。凄い。
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