安堵霊タラコフスキー

少女ムシェットの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

少女ムシェット(1967年製作の映画)
4.2
何故かDVDもビデオもレンタルできないブレッソン最後のモノクロ作品を、U-NEXTの無料期間中に鑑賞。

ブレッソンの抑制された演出は相変わらず良いとして、淡々として緊迫感のある冒頭や終盤の狩猟のシーンや見窄らしいムシェットの外見が周囲の子供らとのギャップでより印象的になっている点、そんなムシェットが遊園地で見せた唯一の笑顔がこれまた平時の無愛想な表情があったため強調されていた点等も中々に素晴らしい味わいを齎していた。

でも夜の小屋のシーン以降は展開にどことなく歯切れの悪い心持ちがして、バッドエンドにしてもあまりスッキリしないままラストを迎えてしまったのは少し勿体無かったけど、もう少し台詞量を少なくしたら余計な情報が無くなって解消されていたかもしれない。

抵抗やスリのようなサスペンスには及ばないし、ドラマ的にもバルタザールの方が好みではあったけど、それでもこのブレッソンのモノクロ映画独特の質感はじめっとしていてやはり良い。