マーくんパパ

幻の光のマーくんパパのレビュー・感想・評価

幻の光(1995年製作の映画)
3.7
監督是枝と女優江角マキコの記念すべきデビュー作。最初のトラウマ:12才の時にお婆ちゃんが突然四国に帰ると言い出して引き止められずそのまま行方不明になったこと。最大のトラウマ:25才の時に愛する夫が幼な子と自分を残して原因不明の鉄道自殺したこと。愛する人2人を亡くした過去の不可解なトラウマに縛られて、再婚後の平穏な日常にも絶えず影がさすゆみ子の心情を再婚先の北陸輪島の港町情景を交差させて映し出す。近所の漁師お婆ちゃんが蟹取って来ること約束して海に出かけ嵐で舟が戻ってこないことで三たびのトラウマに襲われる(夜遅く無事、戻ってきた)。何か説明のつかない幻の光に誘われて刹那的に行動してしまうことが人間にはあると昔漁師だった義父の言葉を聞く。ゆみ子が田舎の葬列について行き、岸辺で燃やす棺に吸い寄せられる一瞬の死の淵の情景など静かな中に人間の不可思議さを散りばめられた情念の映画でした。