ざわさん

ディア・ハンターのざわさんのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.8
2022年 103本目

まさかベトナム戦争の映画だったとは。全くの前知識無し状態で「午前10時の映画祭」に飛び込んだので、ポスターだけ見てランボーみたいな感じかと勘違いしていた。
「戦争に行く前のひと時の幸せ編」「ベトナムでの地獄編」「帰還後の地獄編」の3部に別れた構成で、どのパートもどっしりと重い。映画の中で息つくことができるのは、戦争に行く前の、結婚式のくだりのみ。ベトナムに行ってからはもちろん、帰国後もPTSDに悩まされる。戦争は人を変えてしまうということは、これまでたくさんの映画を見てきて実感しているけど、今作ではそれが鹿を使って表現されている。
戦争の描写はとてつもなく血生臭く、かなりリアル。冒頭からずっと平凡なシーンが続いていたのに、ヘリコプターの音が聞こえたと思ったら、突然舞台はベトナムに。村が爆撃され、隠れている農民に爆弾を投げつける。捕虜とされ、人格が壊れていく様は、フィクションと分かっているのにめちゃくちゃ辛い。『地獄の黙示録』と違い、戦場を仲間と生き抜く様子が濃く描かれている分、誰かを失う恐怖が常に潜んでいる。ラストのロシアンルーレットは、あまりに悲しい。
ロバート・デニーロが戦争の現場にいる映画は初めてみたかも。マフィア役だったり、最近ではいいお爺さん役だったり。ここにきて、改めて彼の役者魂を痛感。
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