ベトナム戦争をリアルタイムで知っているかどうかで感想も大きく変わる気がするが、当時を知る人は落胆という言葉では足りない感情を抱いたのではないか。3時間、日常も丹念に描くことによって観客の心を壊す映画。劇中流れるジョン・ウィリアムスのギターの音色がずっと優しく美しいことにも胸を抉られる。
ジョン・カザールの遺作ということは知ってたけど、脇役なんだな。良くも悪くも俗物なだけの男なんだけど、それだけの男の「それだけ」の卑近さ、(ある意味での)尊さが本作ではとても重要なので、カザールが演じてくれたのは大きい。そして本作でオスカーを獲ったクリストファー・ウォーケン。上手いというか…怖いよね。序盤は端正なイケメンだったのに、最後のロシアンルーレットの場面は生きた人間に見えない。蝋人形にしか見えない。
