JT

ディア・ハンターのJTのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.8
ただただ度肝を抜かれた
強烈で残酷な尊い命の名作

2019年21本目: 原題
『THE DEER HUNTER』

4Kデジタル修復版を劇場で観てきました

ベトナム戦争への出征を控える男たちの友情と
出征後の彼らの変貌ぶりを描いた作品
3時間の内に戦争の描写はほとんどなく
その代わりに死と隣合わせと言う戦争の恐怖をロシアンルーレットという形で表現した

前半ではデニーロが仲間たちと飲んだり踊ったりとかなり明るいシーンが長々と映し出される
戦争の悲惨さとは裏腹に仲間といれる楽しみや生きることの喜びを非常に丁寧に描いており、登場人物に愛着を沸かせ、生々しい心情描写を見事に捉えていた

見所はたくさんあるがやはりあの有名なロシアンルーレットのシーンの素晴らしさは別格だろう
心の底から恐怖を駆り立てられて呼吸を忘れる
そこまでさせるのはデニーロとクリストファー・ウォーケンの卓越した演技力に他ならない
演技を見ていたのではなく狂気を見ていた感覚だ

長い尺をとって彼らの日常に焦点を当て、丁寧で洗練された映画の構成により我々観客にある種の感情が芽吹き、愛と友情と命の美しさを体感した
JT

JT