tamago

あの頃ペニー・レインとのtamagoのレビュー・感想・評価

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)
5.0
昔からずっと観たくて観れてなかった作品。早く観てたら良かったとめっちゃ後悔するくらい良かったです。
ジャーナリズムとは何か、文章を書いて表現することの真髄とは何かがキャメロン監督の実体験に基づいて描かれていて、ただの青春ものに終わらせない意外と骨太な内容。それに加えて大好きな音楽に満ち溢れていて完全にノックアウトされました。
オープニングタイトルから斬新で一気に作品の世界に引き込まれます。やっぱりオープニングタイトルでいいな〜と思った作品にハズレはありません。

まず幼少期の主人公ウィリアムと姉、母親の関係が描かれますが、厳格な母親から逃れて家を飛び出していく姉から弟へのメッセージが胸を熱くさせますし、この家族の関係性が手に取るようにわかってウィリアムの目線で感情移入しまくり。
その後はテンポよくウィリアムがロックバンドのツアーに同行してジャーナリストとして、また大人へと成長していく過程が丁寧に描かれます。
とにかく主演の二人、ロックのジャーナリストを目指すウィリアムとペニーレインの存在感が最高ですが、他の登場人物達もみんな個性的かつ魅力的で不要なキャラは皆無。この辺りが実体験に基づいて書かれた脚本の強みかなと思います。
特に母親と姉の存在感が抜群で、姉は少ししか登場しませんが弟への愛情表現が素敵で、姉役のズーイー・デシャネルさんの他の作品も観たくなりました。
子供達を大切に思うからこその母の思いもたくさん伝わってきて、この歳になって改めて肉親の大切さを思い出させてくれました。母親役のフランシス・マクドーマンドさんは相変わらず味があり、特にロックンローラーに説教する場面は最高でした。
ウィリアムにアドバイスをくれるジャーナリスト役のフィリップ・シーモア・ホフマンさんもはまり役で台詞にいちいち説得力ありすぎ。

笑える場面もあり、人生について考えさせられるようなシリアスな場面もあり、誰もが仕事かプライベートにかかわらず人間関係で経験するであろう喜びや悲しみ、葛藤がてんこ盛りで、心に突き刺さる場面、台詞の連続で、充実した映画体験でした。
観終わった後、不思議な幸福感を味わえる名作だと思います。
選曲も良かったので、とりあえずサントラ探さそうーっと!
tamago

tamago