平田一

アメリカン・ギャングスターの平田一のレビュー・感想・評価

3.9
「商売で一番大切なのは、正直さだ」

デンゼル・ワシントン×ラッセル・クロウ×リドリー・スコット。最高のトリオによる最高の映画です。

ベトナム戦争真っ只中のハーレムで生まれ育った黒人ギャングと警察官の静謐な攻防戦。流石リドリー・スコットなギャング映画になっていて、淡々とさせているのに、退屈はさせていない。勝手な印象なんですが、この手の映画は喧騒で尺稼ぎをしそうなのに、熟練のクリエイターたるリドリー・スコットはそうはしない。常に粛々と追跡し、足跡を見逃さない。まるで彼がリッチー・ロバーツそのものの執念で、根底から覆したギャングスターへ迫ってく。

とにかく非常に面白く、完成度が高いです。

ある意味フランク・ルーカスって誰も見向きもしないとこから成功を掴み取った最高にカッコいいイノベイターに思います。勿論彼のやってることが犯罪なのは承知ですが、ピカレスク・ロマンとしての面白さが完璧で、これをデンゼル・ワシントンが演じているのが流石です。

加えてバトルの相手たるリッチー・ロバーツも素晴らしく、女たらしで下半身はとにかくだらしないけれど、ありとあらゆる悪党に唾を吐ける気概つき。特に悪徳警官のトルーポが来たときの嘲笑と挑発は最高に良かったです。最近ポッチャリ体型のラッセル・クロウが体現するクズを狩るのを楽しんでる刑事ぶりも決まってますw

あと節々のキャスティングにもニヤリとさせられます。特にリッチー・ロバーツを特別捜査チームへ誘うテッド・レヴィンのキャスティングがもうスッゴくニヤリです。何せこの人『ヒート』においてアル・パチーノの部下役で、『羊たちの沈黙』では連続猟奇殺人鬼と、経歴だけ考慮したら納得の逸材ですw

(前半は退屈に感じたところを除けばですが、)しっかしこうまで劇場版がものすごく良かったのに、ディレクターズ・カット版は何が待っているんだろ? 明日拝見予定なので、早く見るのが楽しみです!
平田一

平田一