上海十月

男の顔は履歴書の上海十月のレビュー・感想・評価

男の顔は履歴書(1966年製作の映画)
4.0
加藤泰の松竹映画。東映のイメージが強かったのですが後年は、松竹がホームグラウンド。安藤昇主演の映画を松竹が作っていたとは。大宅壮一の題字がいきなり目に入り、第三国人の傍若無人さに立ち上がり、弟が先に殺され、敵討ちに主人公が立ち上がり闇市を戦場にするという、とても松竹映画とは思えない作品。下記の第三国人の説明は、ウィキペディアから引用。
「1945年11月から1946年11月までは「難民」としてGHQによる帰還事業の対象とされた。1946年11月からは「日本国籍」と看做されながら、1947年5月2日からは外国人登録令により外国人として扱われた。また1946年2月から日本の司法権が適用されるなど朝鮮系の人々は占領政策の転換のはざまで翻弄されつつ、多くの騒乱・衝突を引き起こし(代表的な例として、直江津駅リンチ殺人事件など)、民族教育を巡る対立も加わり、「闇市」や「騒擾」をする「第三国人」と伝えられることが多くなった。」
ということで、この映画の背景は、リアルな事であることがわかる。しかし、映画は、時間軸が結構自由に動き回り、主人公の独白が極めて奇妙ななのが面白い。中原早苗、伊丹十三、中谷一郎、内田良平と観ているだけで楽しい。そしてローアングルが効果的、そして不意にやってくるカットバックの繰り返しと何ともシュール。とても変な映画を観たという気持ちになる作品。
上海十月

上海十月