かなみ

ペパーミント・キャンディーのかなみのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

最後、どん底の世界を目の当たりにして虚しくて悲しい気持ちになる。この作品に通底するのはただひたすらに深い悲しみ、そして後悔のみである。
絶望の累積の軌道を、線路を戻るように進むように淡々と、かつ堂々と描ききる。現在から始まることで、過去の輝かしくささやかな幸せはひどく痛々しくちっぽけに私たちの目に映る。線路を汽車は絶え間なく進む、それは紛れもない過去が、どうやったって変えられないただありのままの事実であることを裏付けている。
一人の女性に対して素直に生きたかった、生きれなかった、残ったのは傲慢な自身と陰鬱な今だけである。これを残酷だと評するにはあまりには浅慮であるし、当然の結果と言うには残酷である。
かなみ

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