まさなつ

ペパーミント・キャンディーのまさなつのレビュー・感想・評価

4.2
桜が🌸満開の日曜日に花見にも行かずイ・チャンドン2本立て!

本当は一本ずつ味わいたかったのですが、このタイミングしかなくて、、。

この映画を最初に観たのはビデオ。まだイ・チャンドンも知らず韓国の現代史も知らずに観たけどズシンときた。

あれから時が過ぎ、光州事件など韓国の現代史を題材とした映画も観て来た今、、この作品を劇場で観られた感激もあるのですが、、あらためて思うのは圧倒的に面白いということです^_^

誰しも「人生は美しい」と思う瞬間があったとしても長くは続かないことが多い。あの時ああすれば、、との後悔もある。だからあの日に戻ってやり直したいと思うことも当然ある。

ただ、彼の場合、ある事件をキッカケに自分は幸せになってはいけないと思っていたふしがあり、その意味では、たとえやり直したとしても、あの結果しかなかったのではとも思う。なんとも切ない。

彼も国家によって翻弄された犠牲者とも言えそうです。

それを、この監督らしく冷徹にではありながらも、どこか温かみのある目線で描いているように感じました。

ひとりの男の、1999年から1979年まで少しずつ戻りながら逆回転の人生模様。

彼の運命を決めたポイントを遡って見せる手法はユニークで、伏線が回収されるというのはよく観ますがその逆に回収された伏線を鮮やかに散りばめていくのを観るのは珍しい。

アイデア倒れにならない見事な脚本で上手いこと描いていて、やはり見応え十分です。
まさなつ

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