半兵衛

國民の創生の半兵衛のレビュー・感想・評価

國民の創生(1915年製作の映画)
3.0
クロスカッティングなどの映像技術で映画を現代的なレベルにまで向上させ、南北戦争における時代背景と二つの家族による複雑なストーリーを叙事詩のように謳い上げる演出はなかなか見ごたえがあった。

でも中盤リンカーンが亡くなりこの映画はオチを中盤にやってどうするんだと思ったら、その後の黒人は人間に非ずという展開が延々と続いて唖然。純情なヒロインリリアン・ギッシュは可憐ではあるが、そんな彼女が差別する側として存在していることが本作の異様な怖さを強調している。

ただ黒人を白人がどう見ていたかなど、当時における生々しい差別意識をスクリーンに刻み込んだという意味では歴史的な作品だったと言えるかも。そして様々な差別や歴史を呑み込み、国民感情を巧みに刺激して一致団結を唱える大アメリカ演出はこのときにもう完成されていることも。
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