きいろいことり

ディア・ドクターのきいろいことりのネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ドクター(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

医師免許がないのに僻地の診療所で医師として地域の人間から愛されている偽医者。
漫画でしか読んだことのない
かなりありえないことなのに、
「現実的にありえそう」に見える、
「あった話」として見られる。
さすがの描写力です。
また、風景がきれい。
どこか分かりませんが、美しいところですね。
自然っていいな。田舎の夏っていいな。と思いながら見ました。医療は乏しいけれど、豊かな暮らしです。

自分の望むことが世間様に言えるようなことではないこと。
自分のやっていることがひとさまに言えるようなことではないこと。
けど、それが人の役に立っていないわけじゃない。
逆に
世間様に、ひとさまに言えるような立派なことでも
ありがた迷惑というか、人のためにならないこともある。

誰かのためになるならば、悪いとされることもする。
それはやさしさの最大級で、優しくて強い人じゃないとできないことです。
(と私は考えているし、たとえばヤクザの中にも立派な人はいる)

誰かのために、みんなのためになるとしても自分が悪者になることを分かって耐えて生きるというのはしんどい。
リーダーは孤独といいますし。
笑福亭鶴瓶さんのキャラクターとマッチしてます。
うまいこと作用してる。
あと、そうしたところは映画監督もそうだと思う。
ものすごい重圧ですよね。
鶴瓶さんの偽医師も抱え過ぎじゃないか、と一般人としては思うのですが
監督もそんな生き物だから、その感情の機微が描けたのかなぁ。

どうして偽医者になったのかは家族関係などに因果がありそうですが明確な描写なく
ほかのひとの考察が気になるところです。
村の人や研修医を騙していたわけですが
それに苦しんでいたし、悩んでいた。
ありがたがられることに戸惑っていた。
けど必要とされるから、続けていた。
騙されたことを本心から怒っている人はいなかった。
本当の被害者がいなかった。

八千草さんのことで、
ギリギリの状態で保たれていた心の均衡が乱れたんかなぁ。
八千草さんの口ぶりだと家族から疎まれてんのかなぁともとれましたけど実際の娘さんは母親のために心配して診療所までくるような方でしたしね。
お医者様なら多忙だから年一しかまとまった連休が取れないのはわかります。親不孝でしょうが。
きいろいことり

きいろいことり