上海十月

わらの犬の上海十月のレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
4.4
意外に食指が動かなかった本作をようやく見る。冒頭から最後まで嫌な予感がずっとつきまとう映画である。暴力映画を得意とする監督は、大体みんな暴力が嫌いだと言う。ペキンパーもその範疇で深作欣二も暴力が嫌いだと言っていた。本作は、だんだんダスティン・ホフマンが内なる暴力に目覚めてきて何とも言えない顔になってくるところが恐ろしい。奥さん役のスーザン・ジョージはあんな格好して歩いたり思わせぶりなことをしてたら襲われるだろう普通。現代の西部劇のような感じもする。公開年度が71年と言うことで同じ年にイギリスの近未来を描いた「時計仕掛けのオレンジ」も同時に公開されている。本作は「時計仕掛け」ほどブラックユーモアもなくただひたすら残虐な方向に行くところは、似たようなテーマを持ちながら趣を異にしている。「ケーブルボーグ」と「ゲッタウェイ」間の作品ですが、ことさら暴力性だけが目立った感じもするのがペキンパーらしいと思える。後味の悪い映画の傑作でしょう。
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