このレビューはネタバレを含みます
異国から来た孤独な少年の成長と悲しい過去を背負った孤独な中年男の再生をカンフーを通して描いた1984年公開の映画【ベスト・キッド】のリメイク作品。
相手の力を利用した流れるようなアクション、熟練の域に達したジャケットプレイ、渋みの効いた抑えた演技。数々の作品で師匠にしごかれる見事な弟子っぷりを見せてきた男が新たに見せる師匠としての眼差し。修行はワックス掛けからジャケット掛けへ。ジャッキー・チェンの新境地ここにあり。
更に、演技もアクションも完璧にこなす天才子役ジェイデン・スミスも素晴らしい。
無意味に思えた繰り返しが血肉となって発揮されるシーンや過去の悲劇を嘆くジャッキーを黙って修行へ連れ出すシーンはたまりません。真っ白なトーナメントウェアのプレゼントに対して「カッコいい!ブルース・リーみたい!」と無邪気に喜ぶジェイデン君と微笑むジャッキーのシーンも最高。
マイナス要素はエンドクレジットでチラつくウィル・スミスの不穏な影。ジャッキー・チェンをキャスティングした功績は認めざるを得ませんが、あんまり出しゃばると息子の頑張りが台無しだぞウィル・スミス。