マヒロ

柔らかい肌のマヒロのレビュー・感想・評価

柔らかい肌(1963年製作の映画)
2.0
著名な評論家のピエールは、仕事に向かう道中の飛行機でCAのニコルに出会う。それとなく彼女に惹かれたピエールは、偶然滞在先のホテルで再会したニコルに思い切ってアタックをかけてみる……というお話。

内緒の不倫関係とか男を惑わす魔性の女みたいな、いかにもフランス映画が好きそうな題材といった印象。
基本的には不貞をはたらいたことをきっかけに転落していく男の話という感じで、ニコルをホテルに連れて行こうとするが全然上手くいかずに無駄に右往左往してしまうとか、真面目に評論家やってきたおじさんが慣れてもいない女遊びをやろうとして情けない姿を晒すのを見させられるんだけど、個人的には映画としてどこを楽しめば良いのかが掴みきれず、あまり乗り切れなかった。
良かったのはピエールの妻が出てくるシーンで、夫の不倫に感づいた後に道端でナンパされブチギレる場面とか、その結果巻き起こるあっと驚くような結末など、奥さんがらみのところだけ妙にテンション高くて好き。
映画って割とどの国の作品でも不倫の話が描かれることが多いけど、特にそこに美徳とか背徳の喜びとかを感じ取れないので、だからどうしたんだと思ってしまうんだよなぁ。

一つオッと思ったのが、ニコルがホテルで出てきた朝食を部屋の外に置くとどこからともなくやってきたノラ猫がそれを食べ始める……というところで、これトリュフォー監督の『アメリカの夜』で、全く同じようなシーンを撮影するという場面があって、今作でのエピソードを基にしてたんだなぁと驚いた。『アメリカの夜』では猫が全く言うことを聞かずに四苦八苦していたけど、おそらく同じように苦労したんだろうなと思うとなんか可笑しい場面に見えてくる。

(2020.198)
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