カンパッチー

パラノイドパークのカンパッチーのレビュー・感想・評価

パラノイドパーク(2007年製作の映画)
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エリオット・スミスが流れるだけで無条件で肯定してしまう人間ですが、これはなかなか評価が難しい…主人公のアレックスくんが美少年ですし、時系列がめちゃめちゃに展開するのですが、中盤に衝撃的なシーンを挟むことでアレックスくんの印象が変わるのも面白いなと思います。
ただ、物語全体がとにかく登場人物ほぼ笑顔がなく進むのでトーンが暗い…!温かみが無い家庭、友達、彼女と彼を取り巻く環境がなんとも鬱屈した雰囲気でその中でも相談相手でもあるメイシーと弟だけが癒しというか…パラノイドパークも彼にとって唯一現実から目を背けることが出来る場所だったんだろうけども…。

つかあんなに可愛い彼女で処女だから彼女はやりたいのにやることを億劫に感じてる時点でお前贅沢な悩みじゃねぇか!と全く感情移入できないのに、段々観ているうちに彼と自分の気持ちがシンクロしていくような不思議な映画です。罪の意識よりあんな簡単に人が…?と戸惑っているのが見て取れるというか、物語はほぼ無いに等しいし、突然物語は終わるしで評価は難しいんですが、こんなに美しいシャワーシーンと印象的な鳥の声はなかったんじゃないかなということだけは評価したい!そして、アレックスくんが美少年だったから耐えられた、ブサイクで演技下手だったら耐えられなかった!!そこもガス・ヴァン・サントは計算していたに違いないと思います。