二瓶ちゃん

桐島、部活やめるってよの二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.7
知人から日本人の日本人たる内向性がこれほどに発揮された映画は知らないと言われたので鑑賞。

Vap Showgate 日テレ。

【青春ってこういうものだと思います】

多分メインビジュアルだけで損してるし、「ゴドーを待ちながら」を意識したのかもしれないタイトルでも損している。ライトなタイトルではあるけど、非常にキャラクター一人一人の心の重さを捉えた、最高密度青春群像劇。

最近の作品で言うと、アニメにはなるが、「スキップとローファー」みたいな感じ。あれからポジティブ要素を全て抜いて、コミカルさを抜くだけ抜いてドラマに徹した印象。

集団ってなんだろう、個人ってなんだろう、他人ってなんだろう、帰属ってなんだろう。そういうことを永遠と考えさせてくる本作。

もちろん映画としては、シーンごとの点が結ばれていく快感が永遠と続くので、なんだかんだ見逃せないと思う。

普通の青春映画みたいに、「この人物の恋愛を成就させるまでの話なのかな」とか思う瞬間があるけど、そんなの全然あり得ない、幸せそうな恋愛とかあまり本作にない。

ネタバレすると一切桐島なんて人物は出てこない。

それぞれの人物に感情移入してしまう度合いが大きい映画なので以下に、戯言を。

小泉を好きな女子の気持ちがすごくわかる。小さいのに頑張ってることをバカにするあいつらの気持ちがよくわかる。平手打ちしたバトミントン部のかすみの気持ちもなんだかわかる。だいぶグロいものを見せつけられてしまった吹奏楽部長の気持ちは辛過ぎた。映画部の監督の横にいる男の劣等感がしみったれた感じすごくわかる。ああいう人は私だったかもしれないし、周りにいたかもしれない。全然二人が体育の時間で選ばれないのは彼ら側ではないからなのかもしれない。東出昌大はどこでも壊れそうな役をやっているなぁという印象。初めて彼が若い頃の映画を見たと思うがその印象は変わらなかった。山本美月可愛いけど、なんかこの映画では可愛さに対してのあの空回りが印象的だった。

誰が主人公ってことはないんだけど、映画部が中心なのかもしれない。壮大な吹奏楽の音楽を背景に迎えるクライマックスは圧巻。

何度か見てもやはりこの映画でしか感じられないものがありそうだ、ということでこの評価。