ドイツ軍に占領されていたフランスの小さな町で人質となった4人に起きる奇跡。深刻な出来事なのに、くすりとした笑いがおき、深刻と軽妙が交互にやって来る。『ジョジョラビット』にちょっと似ている。
実話だったら感動がもう少し深まったかな。作り込まれ感ある「奇跡」なので余韻が残らなかった。
主役のシニアの二人がシニアのままで20年前の若者を演じるのはさすがに無理があった。二人はコンビみたい。息があっていた。
戦争の痛みより、おしゃれで小粋な恋と友情のコメディに感じた。いくつかの奇跡も唐突で必然性がなかった。
何も戦争映画を重苦しく描けばいいとも思わないが、優れた戦争映画がたくさんあるので、軽妙に描くならメッセージ性を高めるとか、ブラックにするとか、もう少しお洒落感減らすとか。映像はカラフルでお洒落。インテリア雑誌みたい。会話も小粋。
フランス映画でドイツ軍が町に駐留している作品『海の沈黙』でもそうだったが、「ドイツ人はフランス大好き、フランスの文化、街は素晴らしい。だから本当は戦争したくないとドイツ人は考えている」ようにフランス映画ではドイツ兵を描いている。フランス人の愛国心に訴えるにはそれでよいのだろうが、戦争映画の普遍性はどこよ?と思ってしまった。
で、もし実話ベースなら感動が深まったと思う。その違いは何だろうと考えている。映画という創作物に「実話」を求めてしまう理由は。