んぎ

青春神話のんぎのレビュー・感想・評価

青春神話(1992年製作の映画)
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初見時の衝撃は忘れがたい。雨やそれにともなう浸水など、ツァイ・ミンリャンのフィルモグラフィに通底する"水"のモチーフは、本作(長編デビュー作!)からすでに援用されている。排水口から溢れでる汚水のごとく、若者たちの欲望は無軌道に拡散し、自己も他者も傷つけてゆく。その代償としての痛みは、もはや取り返しのつかなくなったあとに襲いかかる。その自堕落を慰めるでも諫めるでもない透徹した視線は、映画かくあるべしという強い意思を感じた。それでも後年のツァイ・ミンリャンの(そして、リー・カンションの)老成ぶりから顧みればカメラはよく動くほうだし、陳腐な言い回しだが初期衝動に突き動かされたかのようなエネルギーが全編を貫き通している。
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