メモ魔

ローマの休日のメモ魔のレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
3.6
ローマの休日

王女様だって夜は外の世界を見て回りたいし、お国のために演説ばかりじゃ疲れちゃうんです。

そんなメッセージを感じる映画。
白黒映画=チャップマンとかいう位にしか白黒映画の知識無かったけど、この映画見た事で印象がだいぶ変わった。高貴な方も実は普通の女の子。そんなリアリティに溢れた優しいお話だった。

世間慣れしえない王女様を見るのは、モノクロだろうが現代アニメだろうが、媒体が何であれ心がウキウキする

映像技術に目新しい物は無いし、内容も奇抜な事は無いのだけど、この映画を見て育ってきた親父世代が、今の映画を席巻していると思うと感慨深い。映画はその作品の魅力自体が如何に優れていても、その価値が見出されるか否かはその時代に生きた人間によってのみ決められてしまう。だから、良くも悪くも時代に合った映像作品がこの先も好まれて行くのだろう。今で言えば、ハケンアニメがいい例。アニメという文化が日本に浸透し、見る方から作る方へ興味関心がシフトしつつあるこの時代にあの作品はもってこいだった。でもこの作品が白黒映画で1900年代に作られていたら?今ほど売れないし誰からも共感を得られないだろう。
ローマの休日から同じような事を感じた。恐らくこの映画が作られた時代背景では、国民が王女も1人の女の子である事を強く意識しどこか頭の中で描いているような、そんな興味関心が溢れた時代だったんだろう。その時代にこの作品があってこそ、人は【王女に垣間見る人間性】を評価したに違いない。

一夜限りの城下町旅行。まるで【夜は短し歩けよ乙女】の一片を見ている様で心がウキウキした。こんな非日常を描けるのが映画の良さであり特権とするなら、この文化だけは未来永劫紡がれる物で合って欲しいと。そう思った。

総評
3.6点
作品自体を評価するのであれば恐らくここら辺が個人的にはベストな点数。
今までの映画界を席巻してきた作品である事は100も承知だが、じゃあこの作品に95点を付けてしまうのであれば、2000年代を生きた映画監督は何を腑抜けていたのか。そういう話になってしまう。半導体業界がムーアの法則で集積率を上げるのと同じくして、映画界の技術、人の心を動かす力も時代を増すごとに研磨されてきているのだ。
メモ魔

メモ魔