伊達巻

夜の女たちの伊達巻のレビュー・感想・評価

夜の女たち(1948年製作の映画)
4.1
敗戦直後の大阪でパンパンと呼ばれた街娼婦になった女たち。混沌とした時代背景を人々の不安定な心情に重ね合わせて捉える溝口の手腕が光る。文字通りの追い剥ぎのシーンは、『山椒大夫』における壮絶な別れのシーンを思い出した。カットの繋ぎとか演出面では、あんま良くない意味で荒々しい印象を受けたが、それでもやがて磨かれ切った後期作品にまで通じていく溝口健二の眼差しというものはやはり既に一貫していたのだと感じた。この時代から既に性規範や社会構造に鋭く言及している(田中絹代の言葉は勿論、ただ映し出しているものまで)が、この頃から殆ど何も変わってやいないじゃないか、と思わされるところがありすぎる。アルハラすぎるなと思って間もなく非道な強姦へと移行していくので絶望感して言葉を失う。

そんなことせんかてええように、みんなしてしてくれたらええねんがな
まともな立派な道を暮らそうとしてるもんを、男ゆうたらな、女と見たらすぐおもちゃにしようとかかげよんねん
伊達巻

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