伊達巻

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからの伊達巻のレビュー・感想・評価

4.1
愛には寛容さも親切さも謙虚さもない。愛とは最高の絵を描くために一度描かれた良い絵を台無しにする、その大胆な筆致。でもほんとに愛しているときって良い絵なんてそもそも見えていないんじゃないかと思ったりもする。だからこの言葉は自分の中でこれが愛なのか愛じゃないのか分からなくなった時に思い出せる合鍵みたいなものかなと思う。あるいは愛とは試し続けること("trying"の翻訳は「努力」だったけど今はなんかしっくりこない)だから、愛を描き続けるための勇気だったりもするだろう。(そして「待てよ。良い絵って俺のこと?」。あいつだけは憎めない) でもそれより、「俺ってバカだな」から泣かせてきたポールの「愛し方はひとつじゃない。たくさんあるんだってわかった」ってのがめちゃくちゃに響いてしまった、今のおれに必要な考え方だなと思った。三角関係の少し外れたところにエリーの父ちゃんがいて、そっちも欠かせない物語。「父さんみたいになるな、母さんみたいになれ」って言葉に死ぬほど辛くなる。言葉にやられすぎているな。このタイトル、プラトンのことでしたか。愛って何も片割れを探すことだけじゃない、わかってるさ、でもそれでもひとつだけ信じたいものがあるんだよな
伊達巻

伊達巻