明石です

ダイヤルMの明石ですのレビュー・感想・評価

ダイヤルM(1998年製作の映画)
4.3
資産家の妻を謀殺しようとした男に降りかかる悲劇。そして殺人を共謀する相手が妻の浮気相手の男というまさかの筋書き。ヒッチコックの同名作のリメイクで、何重にも織り込まれた騙し合いがお見事でした。オリジナルが華麗なる一発逆転!だとしたら、こちらは一歩ずつ相手を追い詰めてくドロドロした犯罪劇。

主演はマイケル・ダグラス。金持ちの奥さんには『セブン』のヒロインであり永遠に美しく気高い女性グウィネス・パルトロー。そして主人公2人を謀殺する詐欺師の間男にはブレイク前の若かりし日の(といってもそんなに若くないけど)ヴィゴ・モーテンセンがキャスティング。『悪魔のいけにえ』の続編にも出てたけど、この人は腹に一物抱えてそうな訳あり男の役がよく似合うなあ。見るからに知能犯でごさいって感じの悪人顔だし笑。そして絵に描いたような成功者が似合う反面、いつもヤラレ役を演じてきたマイケル・ダグラスの哀愁漂う演技が素晴らしく、彼とヴィゴと奥さんの三つ巴の騙し合いも見応え満点でした。誰が誰を騙してるのか簡単には分からせない見せ方がとりわけお見事。

ヒッチコックの時代にはできなかった、血が匂い立つような過激な殺人シーンで魅せたり、はたまた意匠を凝らした90年代的なワクワクするカメラワークで、オリジナルとは別の箇所に見せ場を作りつつ、スピーディに展開していくストーリー。事が起こる場面の緊迫さはオリジナルに増して凄まじく、また展開もひねりが効いてる。騙され具合は正直オリジナルの方が上でしたが、別の見どころがある、これはこれで傑作なのでした。ラスト付近の血みどろの殺し合いで、ちょっとサスペンス感薄れてるのは心残りではあったけどね。
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