いののん

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のいののんのレビュー・感想・評価

3.8
表紙(でいいのかな?)の印象があまり良くなくて、ベタな恋愛モノはどうもなぁと敬遠し、今まで観ようとは全く思っていなかった。でも、家で気楽に観られるものをと、何故か急に観てしまい、結果ハマりました。恋に一瞬で落ちるみたいに。あぁ、この映画、いいなぁって。

とにかく上手い。設定も、会話も、ウィーンの町並みも、とにかく旨い。
レビューを書こうと、今、このFilmarksを開くまで、あの「6歳のボクが~」の監督の作品だとは知りませんでした。知ってガテンがいく。

旅で知り合う。共に行動するのは1日限りだと思うから、普段は言えない本音を話せたり、自分自身でも今まで気づかずにいた自分の気持ちを口にすることで認識できたりする。あるいは、多少話を、盛ってみせることだってできる。手探りのなかで揺れ動く気持ちが、まるで自分のことのようによくわかる。

知性あふれる女子大生セリーヌ(ジュリー・デルピー)の、世の中と自分なりに闘っているような台詞がところどころにちりばめられているのも好きだし、彼女の持つ知性に対しちょっと引け目を感じているアメリカ人ジェシー(イーアン・ホーク)がそのことについて心情を吐露するところも好きだ。

列車から降りようと誘う場面も、視聴室、夜の町並み、架空の電話の掛け合い、芝生の上、等々、どれもこれも好き。


学生の頃、一人で旅した時のことなど思い出したりして、そうするとイーサン・ホークが列車を降りおうと誘った時などの台詞を思い返したりして、とにかく妙な気持ちが今、心の中を漂っているところです。
いののん

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