erigio73

古都のerigio73のレビュー・感想・評価

古都(1963年製作の映画)
3.4
この映画に武満徹の音楽は不釣り合いだった。何か原作にない怪しいことが起こるのかと気が気でなかった。60年ほど前の京都の町中にはビルもなく瓦屋根がぎっしりと並んでおり、その後の改築で現在街並みの美しさが失われてしまったことがとても残念に思えた。とは言っても町屋が素晴らしく、ずっと続いてほしかったというわけではない。京都の大店や町屋というのは、階級社会や男女の役割の差を入れ物から規定する造りになっていることにこの映画で気づいた。京都観光も出来てしまうような、ぱっと見はいい映画だが、京都に根付く階級社会を実感する怖さがあった。あ、それが武満徹が起用された訳なのかも。岩下志麻が大店のお嬢様と田舎娘の二役を上手に演じ分けていた。化粧で変わるもんやな。宮口精二はどの映画に出てきても味わいがあっていい。
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