erigio73

赤い天使のerigio73のレビュー・感想・評価

赤い天使(1966年製作の映画)
4.0
若尾文子の声が良かった。あの酷い戦場には有り得ない色気をもつ美人なのに、声の無機的な冷たさで妙に戦線に馴染んでいる。少しでも声に甘さが出たら戦線の臨場感が薄れたことだろう。声が冷たい、つまり態度も冷たい。あなたが好きなので抱いてほしいと依頼するときも、明日をも知れぬ命から来る激情から言っている割には冷静だ。態度や体は溶けていない。ここまで自分を第三者的に分析する女性がいるのかどうか、男性の視線から見た女性像なのかもと思った。でもかっこいい。若尾文子にしびれた~。赤い天使の赤は血の色。恐ろしい血まみれの映画になるはずのところ、モノクロ映画でほっとした。
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