シズヲ

レッド・サンのシズヲのレビュー・感想・評価

レッド・サン(1971年製作の映画)
3.8
チャールズ・ブロンソン×三船敏郎×アラン・ドロン×ウルスラ・アンドレス!!各国のスター大集結の異色欧州ウエスタン。夢の共演と呼ぶ他ないアンサンブルの時点で既に素晴しく、特に主役三人はそれぞれきっちり魅力を発揮している。泥臭いブロンソン、悪漢のドロン、ストイックな三船など、みな存在感があって格好良い。サムライが堂々と西部劇に参戦してる絵面は余りにも強烈だが、三船敏郎ということもあってか概ね真面目に撮られているのが好感だ。ブロンソンをぶん投げる三船が見られるのはどう考えても本作だけ。

ヨーロッパ製ということもあり全体的にマカロニチックで、それ故に暴力性も中々に容赦が無くて良い。とにかく景気良く殺してくれる。美形のアラン・ドロンがスマートな銃さばきで相手を無慈悲に射殺する描写なんかはダーティーで痺れる。アクションシーンも全体的に景気が良く、冒頭の列車強盗を始めブロンソン&三船の共闘やアパッチ相手の迎撃戦など様々なシチュエーションで卒なく楽しませてくれる。本作のインディアンは70年代らしからぬ抽象的悪役で妙に味わい深い。

スター級の役者達が金銭を巡って奔走するさまは『続・夕陽のガンマン』をちょっと連想するが、武士道精神を重んじる三船敏郎以外の三人はTHE BAD寄りなのがなんだか面白い。実質悪役のドロンは勿論のこと、ブロンソンも普通に荒っぽいアウトローだしアンドレスも強かで実利的である。それだけに武士である三船が対比的な存在として用いられ、ブロンソンに影響を与えていくのが印象的。西部劇は時代の終焉を意識し続けるジャンルだが、本作では幕末の武士に対してそれを見出すのが面白い。

ストーリー自体はあくまでスター共演の土台以上の役割を持たないし、ブロンソンが三船をリスペクトする流れはもう少し説得力が欲しかった。川辺で三船が武士について語る場面や売春宿での交流など、ある程度の骨子はあるとはいえ後一歩何かが足りない印象。また終始コンスタントに登場しているブロンソン&三船に対し、アラン・ドロンだけ序盤以降出番が控え目だったのもちと惜しい。そんなこんな言いつつも、スター達が一同に集っている絵面の時点で良さしかないので憎めない。
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