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ダークナイト ライジングのシネラーのレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
4.5
ダークナイト・トリロジーの完結編
であり、前二作を自宅や劇場で鑑賞
したので本作も鑑賞。
三部作の中で脚本の粗が一番目立つが
何度鑑賞しても好きな映画だ。

作品としては、
『バットマン ビギンズ』の続編
という主旨が強く、
傑作だった『ダークナイト』と比較
するとアメコミ要素が増してしまい、
リアリズムが低下して
劣っていると感じる人が
多いように思う。

物語は前作から8年経過し、
傭兵ベインの出現によって
復帰するバットマンが描かれる。
中盤以降では、
バットマンことブルース・ウェインが
ベインの"奈落"に落とされ、
ベインらがゴッサムシティを占領する
展開となるのだが、
そこからの荒唐無稽さが否めない。
数ヶ月も隔離される警官達、
何事もなかったようにゴッサムへ
戻るブルース、
ベイン達の目的に対する手段や
その呆気ない最後。
それらに関して、物語の粗さや
疑問点は感じざるを得ない。

しかし、やりたい事は理解できる。
荒廃したゴッサムでバットマンが
最後の希望となる展開は、
正に失墜したヒーローの復活だ。
原作コミックにある
「ダークナイト リターンズ」でも
ゴッサムが混乱する中でバットマン
が市民を導く展開があるが、
本作でもその魅力が描かれている。
実際にバットマンの復活劇は
観ていて高揚し、
終盤に関しては正にヒーローだ。
最終的に市警とバットマンが
入り乱れて敵に立ち向かう展開も
胸が熱くなった。
そして、本作のラスト5分間は
物語の幕引きとして最高だと思う。
ある人物の"名前"から静かに
盛り上がり、伝説の終焉と始まりを
描ききった言える。
アン・ハサウェイ演じる
キャットウーマンも印象的で
とても美しい。

犯罪者が街を牛耳り、
ゴッサムが混沌に陥る映画としては
本作と後の『ジョーカー』が
個人的に思い返される。
只、『ジョーカー』が犯罪者を
作り上げてしまうかもしれない危険を
描いているのに対し、
本作は誰でもヒーローになれるという
展望を描いていると思う。
「ヒーローはどこにでもいる。両親を
亡くした少年の肩にコートをかけ、
世界の終わりじゃないと励ますような
男だ。」
この三部作で一番好きな場面
かもしれない。
結末までの流れに不満はあるが、
観賞後には嬉しい涙が込み上げてくる
映画だ。
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