TAK44マグナム

ガッチャ!のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ガッチャ!(1985年製作の映画)
3.0
「君と寝れたら死んでもいい」なんて言ったもんだから、本当に殺されそうになるお話。

タイトルのガッチャ!とは、「I got you!」という意味。
この場合、「おまえをやったぜ!」みたいな感じでしょうか。

「トップガン」のアンソニー・エドワーズ主演、共演に「メン・イン・ブラック」のリンダ・フォレンティーノが出ているライトなサスペンス映画。

主人公ジョナサンは童貞の大学生。
キャンパス内で密かに流行っている「ガッチャ」というゲームのチャンピオンでもあります。
ガッチャは、ペイント弾で相手プレイヤーを先に撃てば勝ちという、単純ながら男子なら燃える一種のサバイバルゲームです。
ルームメイトのマロノと二人でパリへ旅行に来たジョナサンは、そこで雰囲気のある美女サーシャと出会い、童貞を無事に卒業します。
サーシャと楽しい日々を過ごしますが、彼女は仕事で東ベルリンへ。
ジョナサンは予定を変更してサーシャに同行するのですが、それが元で命がおびやかされる事件に巻き込まれる羽目になってしまいます。
アメリカに帰国してもなお、KGBとCIAに追われるジョナサンは、ついに反撃にでるのですが・・・・・


内容は、かなり他愛もないストーリーで、深みもコクも無いテレビのスペシャルドラマ程度の出来。
だけども、ガッチャ名人が諜報組織の陰謀に巻き込まれ、そのスキルを活かして事件を解決しようと奮闘する・・・そのアイデア自体は楽しいと思います。
ただ、てっきり、アマチュアガンマンが本物の戦いで生き残ってゆくようなハードな展開があるのかと思っていたら、全然違うテイストだったので若干、拍子抜けしてしまいました。
ドイツが東西に分かれていた冷戦時代の東ベルリンに行ってから、ようやくサスペンス調になってくるのですが、そこまでが案外長いし、ほとんどジョナサンとサーシャがパリでいちゃついているだけで全体的に緊迫感が乏しいのです。
サーシャを演じるリンダ・フォレンティーノがかなり魅力的に描かれている(セクシャルなハスキーボイスも良い!)のが幸いして観るのが辛いということはなかったのですが、それだけで引っ張れるほど映画というものは生易しいものではありませんよね(汗)。

それはそれとして、最後の最後まで、いかにも80年代ぽい軽さが幅を利かせる緩〜い演出が何故か懐かしい香ばしさを思い出させてくれます。
ちなみに、セクシーなシーンは何度かあるのに、リンダ・フォレンティーノのオッパイの全貌が判明するショットは僅か一瞬です。

ジョナサンが活躍するのは、クライマックスとなる大学構内での戦いからで、ここにきてようやくガッチャの腕が物をいうんですね。
しかし、メインアイデアが活きるのが最初と最後だけっていうのは、やはり明らかに物足りない。
しかも、けっこう簡単にプロの諜報員を手玉にとれてしまうのも緊迫感を削ぐのに一役かってしまっております。

大学という自らの庭で迎え撃つのは至極真っ当で納得できる展開だし、序盤の、とある出来事がちゃんと伏線として機能するのは「ああ、なるほど〜!」と思わず膝を打ちました。
その辺りは決して悪くない脚本だと思いましたが、ジョナサンがガッチャ名人であるという設定が、途中、完全に忘れ去られているのはどうなんでしょうかね〜?
コメディ寄りなのか、シリアス寄りなのか。
中途半端に惜しい一作。



セルDVDにて