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弾丸大将の一のレビュー・感想・評価

弾丸大将(1960年製作の映画)
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60年安保の大騒ぎの真っ只中に、名ばかりの独立と対米隷属という日本のアンビバレンスを、米軍の演習場に落っこちる空の薬莢や不発弾を拾い売り生計を立てる“弾拾い”農民たちの生態を通して描出する攻めの巳代治。脚色は橋本忍。そこらじゅうで火薬が破裂する賑やかな映画だが、不発弾の爆発で始まる後家・淡島千景と木村功のしっとりしたメロドラマがイイ。だが全ては爆発が無に帰すのだ。と思いきや新しい恋はまた開始される。木村を失った淡島と道に迷った米兵が茂みを歩き進む美しいロングショットの連なりの中で。しかし砲弾は止まず問答無用に破裂する。米軍が撤退したあとにやってくる自衛隊の官僚的な描き方が複雑な後味を残す。
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