スコセッシフォールド全開

311のスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

311(2011年製作の映画)
-
唯一無二の貴重な災害記録映像であるのだが、行方不明者を探している人や遺族に対する失礼極まりない発言を連発する無意味に不快なインタビュアーに終始複雑な気持ちになる、今まで見たことない部類の作品。惜しい、とか言う話でも無い。後述する。

所詮外部の人間には理解されない、の証明として起承転結の結の部分、ラストのアレが挿入されている。車中での会話とか、準備不足とか、スルメを片手に大川小学校の話とかも、ちゃんと切らなかったのは偉いと思う。報道での一線を学ぶ教材であり、一般人である我々も同じく批判対象である。

の前提を踏まえて、あのラストについて触れたい。遺体が映る場面。明らかにこれまでと空気が変わる。〇〇さんが、〇〇名が亡くなった、の文字や言葉だけでは絶対に伝わらない、災害の恐怖を映画を通して初めて認識できた気がする。日本が災害大国であること、簡単に命は奪われて、本当に死んでいる人がいること。それが身近な誰かかもしれないし、自分かもしれないこと。倫理、道徳上絶対に許されない手段で見た映像なのは承知で、大切にしたい。