ユースケ

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

さて、今日のトランスフォーマーは、大学を卒業して社会人になったサム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)が、ゴージャス過ぎて時々IKKOさんに見える彼女(ジェイソン・ステイサムの嫁であるロージー・ハンティントン=ホワイトリー)に振り回されながら、結局トランスフォーマーの戦いに巻き込まれ、結局大人の階段を昇らされるという童貞青年の成長物語の完結編。

とりあえず、「宇宙開発競争の真の目的は月の裏側に墜落したトランスフォーマーの宇宙船の調査だった!」という【月刊ムー】愛読者が泣いて喜びそうな陰謀論を、当時のニュース映像とニール・アームストロング、バズ・オルドリン、ジョン・F・ケネディ、リチャード・ニクソン、ロバート・マクナマラのそっくりさんをキャスティングした再現映像で本当っぽく仕上げたオープニングで掴みはOK。バズ・オルドリン本人を登場させるやりすぎ演出でミーガン・フォックスの次にロージー・ハンティントン=ホワイトリーと付き合う主人公の設定よりもよっぽど現実味のある設定になっております。

「チェルノブイリ原発事故の原因はトランスフォーマーの宇宙船から回収した燃料棒の暴走だった!」とか「アポロ計画中止の裏にはディセプティコンの策略があった!」とか陰謀論を追加したり、【トランスフォーマー 】シリーズの笑いを引っ張ってきたジョン・タトゥーロに加え、ケン・チョン&ジョン・マルコビッチのコメディリリーフを追加したり、ジェームズ・キャメロン直伝の3D効果をジェームズ・キャメロンがディスった【ピラニア 3D】と同じように使ってロージー・ハンティントン=ホワイトリーのけしからん尻に3D効果を追加したり、やりたい事を詰め込めるだけ詰め込んだマイケル・ベイの大盛至上主義を満喫できる一本。クライマックスのロボットだから許される残酷描写満載(オートボットが寄って集ってディセプティコンの四肢を引き千切るシーンは要チェック)の大破壊が終わる頃にはその全てを忘れさせる潔さも素晴らしい。

欲を言えば、IKKOさんに自尊心を刺激され、センチネル・プライムに不意打ちをかますも、オプティマス・プライムに脊椎ごと頭を引き抜かれる情けないメガトロンではなく、小説版のオプティマス・プライムと共闘してセンチネル・プライムを倒すメガトロンが見たかったし、人工衛星から車にグレードダウンしたサウンドウェーブではなく、ラジカセ型のサウンドウェーブからカセット型のレーザービークが飛び出してコンドルに変形するシーンが見たかったし、ボロ車のエンジンを蹴りまくり、秘密基地の前で叫びまくるハイテンション芸を披露するシャイア・ラブーフには本作以降にも出演して欲しかったです。

ちなみに、オプティマス・プライムの師匠であるセンチネル・プライムの中の人は、【スター・トレック】シリーズのMr.スポックでお馴染みのレナード・ニモイ。
なので、【宇宙大作戦】の第34話【バルカン星人の秘密】をテレビで流して「スポックがイカれる回だな」と言わせたり、リア充のパトリック・デンプシーのオフィスで「この建物はエンタープライズ号みたいだ」と言わせたり、地球から追放されるバンブルビーがサムとの別れ際に流すラジオの音声を【スタートレックII カーンの逆襲】でMr.スポックがカーク船長との別れ際に言うセリフ「私は永遠にあなたの友人です(I will always be your friend.)」からの引用して「君は永遠に私の友達です(You will always be my friend.)」にしたり、サイバトロン星を地球へ転送するスペースブリッジを起動するセンチネル・プライムに【スタートレックII カーンの逆襲】でMr.スポックがカーク船長との別れ際に言うセリフ「多数の望みは少数の望みに優先する(The needs of the many outweigh the needs of the few.)」をそのまま言わせたり、【スタートレック】シリーズへのオマージュが盛り沢山。トレッキーのみなさんはそのシーンを見るだけでも価値のある作品だと思います。

セル版のBlu-rayを購入しましたが、音声解説もメイキング映像も一切収録されていないガッカリ仕様。ケン・チョンがエレベーターで飲んでいたYiLi社の牛乳Shuhuaをはじめ、MetersBonwe社のTシャツ、Lenovo社のノートパソコン、TCL社の薄型テレビなど、中国系企業によるあからさまなプロダクトプレイスメントについて解説して欲しかったです。