サマータイムブルース

鏡のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

(1974年製作の映画)
3.5
だいぶ前に見てるけど、途中で寝落ちしたので再チャレンジ!!
アンドレイ・タルコフスキー監督の自伝的映画です

少年時代のアレクセイの父親は妻とアレクセイと妹を置いて家を出て行ってしまう
そして、大人になったアレクセイは父と同じようにやっぱり妻と子供を置いて家を出て行ってしまう、というようなストーリー

アレクセイの記憶の断片が蘇る
そのシークエンスに何の説明もないので、見てる方は混乱します
そこに、第二義世界大戦、スペイン内戦、スターリンの独裁政権、ベルリンの陥落や原子爆弾のキノコ雲、中国の文化大革命、ソ連と中国の国境紛争など、時事映像が割って入ってきます
本人はやりたいように撮っただけで、結果として難解になってしまったと言う印象

映像は美しいです
登場人物は達観してるせいか、皆厭世的な表情をしています

少年時代のアレクセイは出てくるけど、大人になった彼は直接画面に映りません
妻と会話するシーンでは、語りかける自分は画面を通して妻を見ている視線のみで本人は映らない
母から、印刷工場で一緒に働いていた同僚のリーザがなくなったのよ、とアレクセイに電話がかかってくるシーンも音声のみで、彼の目を通した部屋の映像しか映らない
つまり、カメラがアレクセイであり、そういった意味で究極の一人称映画と言えるのかもしれません

アレクセイが少年時代の母マリアと、青年時代の妻ナタリアは同じ女優さんマルガリータ・テレホワさんが演じています
首筋の一直線上に3つ黒子が並んでるのが特徴的です
同じ役者さんなので、今映っているのが母マリアなのか妻ナタリアなのか分からなくて時々混乱します
この方うっとりするほど美人です
同僚のリーザからなじられるシーンで、みるみる泣き崩れて行く演技が素晴らしかったです
そこまで酷い言い方するかね

ちなみにアレクセイの少年期の少年と大人になったアレクセイの息子イグナートも同じ子役(イグナート・ダニルツェフくん)が演じてます

序盤、草原に立つ自宅の柵に腰掛けてタバコを吸ってるマリアに、自称医者の男が話しかけてきます
タバコをもらって一緒に柵に腰掛けると重みで柵が壊れて2人は転がり落ちます
何の意味もないシーンですが、男が立ち去る時の草原のさざなみが幻想的で美しく心奪われます
あの時代にどうやって撮ったんだろう
それより、壊した柵直して行けよ!!と、そっちがが気になりました

終盤ははい、ワケワカメでした
宝石を近所?の家に売りに行って、結局売らずに家を出てからどうなった?あの、唇の荒れた女性は何?
諦めずに最後まで見た自分を褒めてあげたい
現在と過去と未来が交錯しているのかな