道人

ほしのこえの道人のレビュー・感想・評価

ほしのこえ(2002年製作の映画)
3.0
 「文化庁メディア芸術祭20周年企画展ー変える力」の上映プログラム(於 秋葉原UDX THEATER)で新海誠監督の初の劇場作品だった『ほしのこえ』を観てきました。公開された2002年当時、オタク界隈では結構話題になっていた記憶はあるのですが、私は見たことがなかったので初見です。

 『言の葉の庭』『君の名は。』しか観ていない私が言うのもなんですが、新海節の濃縮された原液みたいな作品で興味深かったです。やっぱり足の描き方にはフェチズムを感じるし、可愛い女の子には雨に濡れてほしいし、女の子が寒空の下で吐く白い息ってなんだであんなに綺麗なんだろうね監督!ってサムズアップしながら監督の肩を叩きたい感じ。

 まさか新海監督の最初の劇場作品がこここまでロボのアクションものだとは思いませんでした。ロボの挙動とか、調査船の光学兵器の軌道とか。謎の敵を倒した時に吹き出す生々しい赤の血飛沫とか…自分の熱狂した表現を「自分はこういうのが好きだったんだぜ!」と素直に吐き出してる初期作品っていいですよね。

 こういう見方は邪道かもしれないけど、エヴァを中継した90年台後半〜00年代のあの時代の空気を新海監督も吸ってこのアニメを作ったんだなぁ、と感じられて嬉しかったです。長い間オタクやってると、自分が耽溺してきたものと通底するような…同じ空気を吸ってきたであろう人が作った熱い作品に出会うと、妙に嬉しくなったりするものなんですね。

(´-`).。oO(一番の突っ込みどころはなぜ宇宙空間でもミカコは中学の制服なんだろうということなんだけど、機動兵器のコクピットの中、真空に隔てられた何光年も先の想い人に膝を抱えてメールを打つ制服少女の絵はもうそれだけでたまらないわけですよ…。)

【2016.10.24 劇場観賞】

 
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