ユーライ

模倣犯のユーライのレビュー・感想・評価

模倣犯(2002年製作の映画)
3.7
困難なテーマに挑戦しているが、上手くいっていない。だが、この問題提起は20年経った現在でも通用する。森田芳光らしく、生きている人間でさえもどこかマテリアル的、無機質に映していく感覚は今作においてTV画面に代表されるデジタルデータとして機能する。事件を仰々しく伝えるニュース、噂を囃し立てるネットの書き込みも、扇情的なCMが全て均等のものとして映る。オープニングとエンディングで回る地球儀は、不可抗力の悪意がデジタルデータとして全世界に広がっていく様を表していて、SF的でもあるし、2021年になるとより身近に感じられる。この複数のフッテージを使って社会を暴いていく作りは、後の『22年目の告白』でより上手く実現。そういう意味で早すぎた映画。ピースの爆発がCG丸出しなのはある程度意図的。中居正広の超然としていながら、どこか安っぽさが抜けきらない佇まいが出色。同時代の映像としてノイジーな画面とBGMが『lain』や『ブギーポップ・ファントム』と被ることに感動した。
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