TAK44マグナム

疾風 Basement FightのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

疾風 Basement Fight(2003年製作の映画)
2.2
あまりにも安すぎるマーシャルアーツ映画。


仮面ライダーナイトの松田悟志、ウルトラマンガイアの吉岡毅志、仮面ライダー斬鬼の松田賢二が仮面ライダーZXの菅田俊に無理やり拉致されて、生きるか死ぬかのデスバトルに参加させられます。
女性ファイターとして大谷みつほも参戦、「七星闘神ガイファード」に出ていた清水あすかと戦います。

見事に特撮出身者ばかり!

はっきり言って、お話はそれこそ「お話にならない」ってレベルで、これ以上ないってぐらいに薄っぺらい。
失礼を承知で書くと、素人がてきとうにでっち上げたような脚本で、ワケが分かりません!
思いつきのような展開と思わせぶりな台詞の応酬。
特に、菅田俊の台詞は全部アドリブなんじゃないの?
違うとしたら脚本が狂ってますがな(汗)
結局戦わないで逃げるし、ただの頭のおかしいオジサンでしかなかった・・・
人質の女子をお姫様抱っこしたと思ったら落とす。ただ、抱っこしたかっただけじゃないのか?
エキセントリックさを演出しているのかもしれませんが、「特捜ロボジャンパーソン」で演じたビルゴルディみたいにペロペロキャンディー舐めていたほうがマシ!
あいつがフィクサーになれるなんて、裏社会ってどうなっているんだよ!

アクション以外はどうでもいいと割り切っているなら、それでも良いでしょう。
でも、そのアクションも若干、緩め。
主人公チームはまだ良いのですが、敵の大部分が動けてない。
拳法家とラスボスは、ある程度の強さを表現できてましたけれど、最初の方に出てくる連中は何なんだ・・・圧倒的に弱そうだし、ダサい!
あと、バトルの運び方も疑問。
どうして逆転できたのか?とか全然分からないし、そもそも相手との戦力差とかが曖昧すぎます。
メチャ強かったラスボスでさえ、途中でいきなり弱体化したようにしか見えず。
そういえば、松田賢二はなんで勝てたの?
さっぱり分からなかったけれど。

要するに、ちゃんと練れてないんじゃないかな?
その場のノリでデザインされたような攻防だから、少しも盛り上がらない。
主人公たちはあれだけやられてもピンピンしているのに、敵側は少し攻撃を受けるともう瀕死。
いつの間にか死んでたりします。
そんな風なので、殺されるかもしれないのに緊張感も緊迫感も感じられないんですよね。
第一、脱出不可能とか言って非常口に鎖を巻いてるだけ。ドア蹴り飛ばして出て行けそうじゃん!

武器もすぐ捨てちゃったりするから、別に無くても良かったような気がします。
特に吉岡毅志のヌンチャク。
ほとんど意味なく終わった・・・
殺陣が難しくなりそうなものは結局使えず仕舞いにしてしまおうという事なのかな(汗)

そして、とにかく敵が卑怯!
勝つためには手段を選ばないのはデスゲームだから許されている行為なんだろうけれど、最初っから毒とか使っちゃって、おまえらは「魁!男塾」かっていうの!
数的優位な場面が多いし、これって一応賭け試合の筈ですけれど、ベットする時に分かりにくいでしょうねえ。主人公たちが何人で戦うのかも状況次第だし。
タイマンに限ったほうが分かりやすいでしょうよ。
・・・などと思っていたら、ラスボスとの決戦では主人公たち3人がかりでしたからね。最終的にラスボスを皆でよってたかって虐めているようにしか見えなかったという(汗)
う〜ん、どっちもどっちか!

戦いの舞台となる建物はショボいし、なんだか喧嘩の延長線上にしか見えないバトルは、これで裏社会ナンバー1を決めるようなレベルには到底思えず。
つまりは全て、安っぽいんですよね。予算ないから、ただひたすら華のない主人公たちが華のない敵たちとポコポコやり合っているだけで劇終ですよ。
危ない連中と殺し合ったにしては、ケロリと明るく終わっちゃうのもなんだかなぁ。
主人公は人生を賭けた試合があったんじゃないのか?

それとね、みんな少しは松田賢二の事を思いやってあげてはくれまいか(苦笑)
忘れ去られて、あまりにも不憫っ!
あの役、これなら必要ないでしょうよ・・・
師匠も師匠で、なんでまた危険な戦いに参加したのか?
師匠は、あっという間に毒まわって死んだのに、なんで弟子は動けたのか。
謎ばかり。
そもそもあの敵、弱くね?
・・・奥さんの辺見えみりが観たら微妙な顔しそうだなと思ったら、もう離婚してたの?!
知らなかったよ(汗)


唯一良かった点は、松田悟志と吉岡毅志がよく動けていたところですね。
スピードがあるし、ひとつひとつの動作がピシッと決まってて、見ていて気持ち良い。
松田悟志の役は特に面白みはありませんでしたが、吉岡毅志は軽口たたきながらもいざとなれば強いというキャラクターが似合っていました。
ブルース・リーの構えや足捌きをコピーした動きも楽しいし、「え?こんなこと出来たの?」ってビックリするほどの蹴り技が炸裂するところは本作最大の見どころです。
これなら普通にアクション映画で目立てますよ!
相手の身体を駆け上がってのキックって凄くないですか?
そりゃあ、ウルトラマンではありましたが・・・(笑)

そんなこんなで、非常にチープ且つツマらない映画ではありますが、吉岡毅志は演技も演武も良かった・・・と、そこは評価をしたいですね。
自主映画のようなルックを我慢すれば、そこそこの格闘映画としてみられるし、キャスト陣の誰かをお好きなら、ファンムービーとして楽しめると思います。


Gyao!にて