ぴろぴろ

インファナル・アフェアIII 終極無間のぴろぴろのレビュー・感想・評価

4.5

約10年の長いスパンを描いた香港ノワール三部作、遂に完結。
ラストを飾る今作は、時系列が入り乱れて非現実な世界も描かれ少し混乱したので2回続けて観た。

自分は警察官だという誇りだけを胸に、理不尽な職務を全うし非業の死を遂げたヤンが、今作では時に柔和な笑顔を見せ、キョンとの友情や女医リーと人生最後に束の間の幸福な時間を過ごせていた事を知って、すっかりヤンに魅せられていた私は救われた気もした。
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと続けて観たので、キャラがより深く掘り下げられて、壮絶な運命に翻弄され変わってしまう登場人物達が、警察側もマフィア側もどのキャラもとても魅力的だった。
ヤン、ヨン、シェン、3人が揃ったシーンは「えーっ」とイイ意味で裏切られた。
キョンはやっぱりイイ奴。   ちょっと成長が見える。
どこか人の良さそうな、人の懐にフッと入って来る様な憎めなさと抜かりなさを見せていたサムは、恐ろしく勘が冴えるすっかり極悪非道な裏社会のボスの顔になっていた。  
そして今作の主役、悩めるラウ。  保身の為には手段を選ばず何人も手にかけ、疑心暗鬼に苛まれ、やがて無間地獄へ堕ちていく。   因果応報とはいえ切なさと憐れな気持ちが残る。   「善人になりたい」と願ってた事も知っているから。
ラウは車椅子からモールス信号で誰に何てメッセージを送っていたのだろうか。
ラウの、マリーとの思い出の曲でもある挿入歌が3作品いずれも絶妙なタイミングで流れて印象に残る。  この曲もどこか物悲しくて懐かしい様で、とても良かった。
そして、撃ち方には流儀があって、足や手を狙う者、迷いもなく額を撃ち抜く者。   善人になりきれないワケは、運命だけでは無くて重ねた罪と、そもそも根っ子が違うからかなぁとも思った。
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