ユースケ

空の大怪獣 ラドンのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

東宝特撮怪獣映画初のカラー作品である本作は、製作・田中友幸、監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二という【ゴジラ】のスタッフと平田昭彦、佐原健二(【ゴジラ】出演時の芸名は石原忠)という【ゴジラ】のキャストによって制作され、原水爆実験によって目覚めたラドンが九州地方を破壊する姿を描くというほとんど【ゴジラ】みたいなお話。観客が気付かないくらいサラッとラドンと命名する平田昭彦をお見逃しなく。

とりあえず、ラドンの前座として登場し、発泡スチロールを擦り合わせたような声で鳴きながら炭鉱夫を切り刻むメガヌロンのキモかわ具合は要チェック。ラドンの雛にパクパク食べられる姿もプリチー。被害者の炭鉱夫の中には風車の弥七(中谷一郎)も居るよ。

更に、ラドンが巻き起こすソニックブーム(衝撃波)によって破壊される西海橋や岩田屋デパートなど、気合の入ったミニチュアの破壊シーンも秀逸。吹き飛ぶ瓦、燃え上がる建物、カルピスや森永ミルクキャラメルの看板など、一見の価値ありです。

とにかく、ラドンがお休みしている阿蘇山に大量のミサイルと砲弾を撃ち込み、阿蘇山の噴火によってラドンを焼き殺すラストシーンはせつなさまだれうち。
溶鉱炉から溶けた鉄を流す溶岩流の再現も素晴らしかったのですが、見ているこっちがイライラするくらいミサイルと砲弾の発射と爆発を延々と繰り返す演出は、怪獣よりも人間の方が恐ろしい存在だと思わせる素晴らしい演出でした。

ちなみに、ラドンが飛び立てずに炎に飲み込まれる演出は、ラドンを吊っていたピアノ線が溶けた鉄の熱によって焼き切れてしまったアクシデントが生み出した奇跡の演出だったそうです。

佐原健二、平田昭彦、村上冬樹、白川由美