メガヌロンという存在が個性で、巨大過ぎない怪獣がまず出てくるのがいい。そのサイズによって、炭鉱内の怪奇事件というホラー的な展開が出来ている。怪我人の描写も生々しく、未知の怪物と遭遇した怖さが出ていた。
戦車や戦闘機と違い歩兵との戦闘になるので、前者より特撮技術的にもそれらしく見える。調査して少しずつ事態が明らかになる過程や、記憶喪失への対応も結構それっぽく見えた。
本命の怪獣が出るまでをいかに見せるかがこのジャンルの鍵だが、十分面白く出来ていた。
ラドンは、やはりこの時代にあれだけの物を飛ばしていたのが見事。戦闘機とのドッグファイトもいいし、突風やソニックブームだけで周りの物が壊れていくのも魅力的だ。
吊るしているワイヤーが見えたりと苦労も垣間見えたが、土砂崩れや地盤沈下のような派手な特撮はレベルが高い。特に、ラドンが橋を破壊したシーンは見事な出来栄え。
正攻法で倒せていないため消化不良感が出そうだが、そんなことがどうでもうよくなるくらい阿蘇山の総攻撃は執拗で派手だった。
ワイヤーが切れてしまったという偶然と、造形が東宝怪獣の中でも既存の生き物っぽいというのがあわさり、ラストシーンは何とも言えない物悲しさが漂う。これもまた、本作の個性と言えるだろう。