フェミ研ゼミ

さらば、わが愛 覇王別姫のフェミ研ゼミのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
5.0
久しぶりに「映画」を観た。
これが映画だとしたら、
わたしはどれほどの間映画を観ていなかったのだろう。

およそ3時間の映画なのに、その長さを感じさせず
むしろもっと見ていたいと思った。

26年前の映画なのだが私にとっては最新の超大作で。
私の人生にとって重要な映画になった。

この映画を観てから、
これまで感動していた映画の中の誰かの葛藤とか、悲しみとか、
この時代にはこの時代の苦しみがあるけれど、
かすり傷ですらないと思ってしまった。

この映画をある人に勧められたことがある。
その人は長い映画だけど、「夜中にひとりで観たらいいよ」と言っていた。
具体的にどうとか説明された訳ではないけれど、とっても特別な映画なんだと感じた。
TSUTAYAに立ち寄っては、何度もこの映画を手にするが、なんだか「今じゃない」
と感じて数年も経った今、やっと観ることができた。

最近の私が映画を観ていないと感じるの、
映画を観てもただ消費しているという感覚しかないからだ。
以前は、観ている最中は吸血鬼が血を吸うような感じで、映画を自分の血肉にしているようなそんな心持で観ていた。
だから、最近の私にはもう映画を血肉にする機能がなくなったんだなと、さみしいとも悲しいともわからない気持ちになっていた。
そんな時にこの映画をみて、
もっと観たい、もっと知りたい、
わたしの知らない何かをもっと観たい。
とあの頃みたいな情熱が蘇ってきたのでした。
こんなに素晴らしい映画に出会って私はこんなにも大感動しているのに、
この完璧すぎる何かを言葉にすることが出来ず、心の中は熱くざわついているのに変に静寂でいる。

きっとこの映画をすすめてくれたあの人も、そんな感じだったんじゃなかいか。

昨日もTSUTAYAに行った。
最近の私なら新作映画をてきとうに4.5本選ぶところだが、昨日は久し振りに旧作コーナーに行った。ア行から順番にタイトルから物語を想像してゆっくり背伸びしたり、しゃがんだりしたまま想像して進んだ。
久し振りにワクワクした。

昨日は月も綺麗で、そよぐ風から秋を感じた。
本当に久し振りにワクワクしたんだ。


この映画のことを想っているだけで、音楽や風を感じるよ。秋だなあ。
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