いののん

グブラのいののんのレビュー・感想・評価

グブラ(2005年製作の映画)
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灯にはいろいろあっても、
闇の暗さは同じ


眠れない、たくさんの夫婦。眠れない男。眠れない女。様々な夫婦の、様々な愛のかたち。様々な夫婦、様々な男と女、様々な憎しみ。そして、赦しのかたち。


いったい何人が登場したのか、把握しきれていない。神は救うのか。ヤスミン版罪と罰と赦し。


男の人の服を借りて、ダボダボの服を着て、車の荷台で踊るオーキッド。とてつもなく可愛い。最強の可愛さ。まだ彼女は少女で、あどけなくてイノセントだ。でも、時折、オトナの顔を見せる。修羅場も地獄も通り抜けてここまできたのよ、って顔をみせる。勝負服・勝負髪(ヘアスタイル)で。約束して切らなかった髪の毛を、エレガントに巻き上げて。


眠れないこと。
「眠れなかったら、水槽のなかを泳ぐ魚の群れをみたらいい。」昼間おもろいお父さんは、夜になるとそう言う。きっと落ち着くはずだから。水槽の魚も眠らない。夜は皆ひとりだ。抱き合って眠っていたとしても、孤独だ。それは、群れているようにみえる魚も、それぞれ1匹で泳いでいるのと同じことだ。でも、無事に夜を通り過ぎ、朝まで生き延び、横でトントンしてくれる人がいれば。また、きょうを1日、生きていくことができる。


トントンしてくれる人がいなかったらどうなるの?それは、考えない考えない考えないっ!考えないんだからねっ!!! 


あっ、わかった!
だからヤスミン監督がいて、作品群があるんだ。


(書いてたら、なんか映画と全然違う色合いのものになっちゃった。)
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