グブラの作品情報・感想・評価

「グブラ」に投稿された感想・評価

灯にはいろいろあっても、
闇の暗さは同じ


眠れない、たくさんの夫婦。眠れない男。眠れない女。様々な夫婦の、様々な愛のかたち。様々な夫婦、様々な男と女、様々な憎しみ。そして、赦しのかたち。


いったい何人が登場したのか、把握しきれていない。神は救うのか。ヤスミン版罪と罰と赦し。


男の人の服を借りて、ダボダボの服を着て、車の荷台で踊るオーキッド。とてつもなく可愛い。最強の可愛さ。まだ彼女は少女で、あどけなくてイノセントだ。でも、時折、オトナの顔を見せる。修羅場も地獄も通り抜けてここまできたのよ、って顔をみせる。勝負服・勝負髪(ヘアスタイル)で。約束して切らなかった髪の毛を、エレガントに巻き上げて。


眠れないこと。
「眠れなかったら、水槽のなかを泳ぐ魚の群れをみたらいい。」昼間おもろいお父さんは、夜になるとそう言う。きっと落ち着くはずだから。水槽の魚も眠らない。夜は皆ひとりだ。抱き合って眠っていたとしても、孤独だ。それは、群れているようにみえる魚も、それぞれ1匹で泳いでいるのと同じことだ。でも、無事に夜を通り過ぎ、朝まで生き延び、横でトントンしてくれる人がいれば。また、きょうを1日、生きていくことができる。


トントンしてくれる人がいなかったらどうなるの?それは、考えない考えない考えないっ!考えないんだからねっ!!! 


あっ、わかった!
だからヤスミン監督がいて、作品群があるんだ。


(書いてたら、なんか映画と全然違う色合いのものになっちゃった。)
「新しい出会いと愛。もう一つの希望と絶望」

「細い目」の続編。

少女オーキッドの三部作の二作目だか、この作品のみでも独立して鑑賞出来ます。

前作から数年後のオーキッドは、広告代理店社員と結婚していて、幸せそうだか、ある時、裏切りに気づく。

オーキッドが語るマレーシアへの想いは、おそらく監督自身の気持ちなのでは?

並行して低所得者地域のイスラム司祭夫婦と娼婦姉妹の悲しいエピソードも語られる。

特に妹の希望からの落とされかた・・

2つのメインエピソードが並行して描かれるが、登場人物は交わらない。

前作「細い目」の家族がそのまま登場して、オーキッドは、亡き彼の兄に少しずつ惹かれてゆく。

いくつかの新しい出会いと絶望と和解が並行して描かれる。

前作もそうだか、裏切と暴力の影もさらりと描く、辛口なところにも唸る。

今作は英語と中国語の字幕が表示されるプリントで上映されていて、複数言語のマレーシアをさらに感じさせてくれる。
他のヤスミン作品より人間の弱さ、やるせなさが強めで少し苦しかったけれど、隣人が祈りが、光を灯してくれる。『細い目』の時から気になっていた中国系ジェイソンの両親。病院のベッドで彼らの隣になったマレー系家族のそっと手を触れるようなやさしさに泣きました。

結婚生活30年のうち20年はけんかばかりしてきたというジェイソンの両親が、少しだけ本音をもらして心がほどけていくシーンもよかった。初めて見せる母親の笑顔にほっとした。これから幸せに暮らしてほしい。

ヤスミン映画で印象的に使われるクラシック。本作ではベートーベンピアノコンチェルト第5番のアダージョ。オーキッドが夫に感情をぶつけるシーン、オーキッド両親のかわいいダンス、イスラム教聖職者家族の朝食、何気ない人間の営みを包み込むような美しい音楽の使い方に毎回胸がいっぱいになります…
ハコ

ハコの感想・評価

5.0

『何を見ているの?』


『愛する人』

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『細い目』に出てくる少女オーキッドの、未来を描いた続編です。オーキッドが結婚した後のお話。

結婚したオーキッドは、父の入院をきっかけに夫の裏切りに気づく。一方で、町の反対側にある低所得者の地域では、イスラム教聖職者とその妻が、近隣者の困難に向き合う。
映画の中では、2つの世界がパラレルに進んでいきます。

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確かに、ヤスミンの映画の中ではシビアな部類に入る作品なのかもしれないです。
特に「夫婦」としての男女にスポットが当てられていて、裏切られたり、言い争ったり、手をあげてしまうこともある。

でも(映画の展開に関わってこないので言いますが)このレビューの冒頭の言葉は、映画の中でとある男女が交わす言葉です。
ただシンプルに、この映画の中で人と人の心が通じる瞬間を見ると、じんわりするなあとも感じるんです。

その苦みと甘みの切り替えがものすごくて、どきどきしながら観ていました。緊張しながら観たヤスミン映画、初めてかも。

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冒頭、食材を並べていく手を映し出す映像。誰かのために作るごはん。
沢山出てくる家のつくりや、家の中の様子の違いを見ているだけで多くのものを読み取れるのも、ヤスミン映画の面白さ。

最後、やっばいですね……。『細い目』『グブラ』『ムクシン』(オーキッド三部作と呼ばれている)すべて観て、一人の女性が生きるのを見ていくって、もしかしたらきっと、こういうことなのかもしれない、と思いました(感動)。
ヤスミンの込めたメッセージ。
harunoma17

harunoma17の感想・評価

5.0
2012年8月と15年4月そして17年の2月
ヤスミン・アフマド監督特集のときによたび鑑賞。35mmフィルムでした。

ワスレナグサ ヤスミン・アフマド
マレーシアへいつかいきたいと想います
『細い目』の続編的な部分でオーキッドとジェイソンの兄、そして浮気するオーキッドの旦那など修羅場感あるテーマだが、イスラム教が国教の国でも男と女、浮気に売春くらいあるよねーとヤスミンさんさらっと語るような軽妙さ。
smmt705

smmt705の感想・評価

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『細い目』を観た後だと更に、おお〜〜こうなったのかぁ〜!と親戚気分で観てしまった。相変わらず笑わせてくれるオーキッド家族。そしてあらゆる愛のかたち。オーキッドたちとは別で進む娼婦達の暮らし。こんなにも幸せに感じる一瞬があるのに、一瞬にしてそれが奪われるこの現実に目を背けないのが、ヤスミン監督だなぁと改めて思った。
iku

ikuの感想・評価

4.0
細い目を観てから本作観れて良かった
ランプの形はそれぞれ違っても、放つ光は同じ
いや、ほんまにマーラーさんの言う通り
mingo

mingoの感想・評価

3.9
「細い目」観たあとから観るべきだった、相変わらず悲劇の中にユーモアを足しながらコミカルな表現が随所に見られるが、多彩なカップルを多角的に描くことで実際に生きている人々のように人と人とが繋がることの温かさを描いてる。妙にリアルな味わいがある。周囲の日との触れ合いが新しい未来をつくる。
またイスラム教の在り方を求める当時のマレーシアに対して売春婦に手を差し伸べるという解答もヤスミンの人間性が表れている。

7/20トークメモ

シャリファアマニ、細い目は17歳グブラは19歳だった。夫の俳優は30代。なぜこんなに離れてるんだて言ったら黙って演技しなさいと言われた。リハーサルに時間をかけることが大事。共に時間を過ごすことでお互いを知っていく。ヤスミンがオーケッドの世界観をつくってくれたから出来た。私生活で先立って教えてくれた笑。ピートテオがグブラに音楽を提供したのは映画はダークだし1つの神について描かれているので、賛美歌のようなスタイルで誕生した。

シャリファ。ヤスミン監督の言葉をそのまま言うとねえねえビッチと言われた。1番下のアリアとは13歳離れてて親子のよう。アマニさんにとってはムクシンが1番好き。アレーシアはムアラフになぜ選ばれたかわかる。知識を求めなさい。色やタペストリーのおり合わせが人生。世の中はグレーで良い。
私の可愛いオーキッドになんてことしやがんだこの下衆野郎!「処罰!どんどん空気のなくなる部屋でボレロ聞きっぱなしの刑!」という醜い怒りに半分くらい支配されてた。新参者ながらヤスミンワールドを愛する者の端くれとして情けない。。でも嫌いなもんは嫌い。出て来た時からあの旦那には嫌な気配が漂ってた。多分不快なきつい香水付けてるはず。(完全なる偏見)

オーキッドみたいに、可愛くて賢くて素直で平等で誠実で強くて優しくて家族想いで先進的で男性に依存しないミラクルガールでさえ、一度は外れくじを引いちゃうなんて、私の人生が上手く行かないのは至極当然だよな。。って気持ちになった。それくらいオーキッドはキュートな女神だから、彼女が不幸になるなんて耐えられない。(勿論まだまだこれからだけど!) なので正直エンドロールの後の1シーンに一番気持ちを持って行かれた。そっちの世界がもっと見たいよ。。例え夢でも構わないから。

他の作品よりも痛みが多く描かれていて、笑いもあったけど苦しい時間が長く感じた。オーキッドの方に気を取られてもう一本の物語が上手く飲み込めてないけど、3人並んでアイスサンドを食べるシーンが好き。あのカメラの角度とかフレームに収まらない視線の先を一切映さない潔さとか、当然ながら画角やカメラワークにも並々ならぬこだわりが感じられて、1シーン1シーンが流れて行かない強さを持ってた。あとはオーキッドの《香港歌手お化け→湯上がりバスタオル→アニーホール→フル装備おめかし》の衣装4変化が見れるのが嬉しい。アチョーって飛び蹴りするとこと車の荷台ではしゃぐとこ可愛すぎる。なのにあいつと来たら…!!(冒頭に戻る)
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