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日本一のゴリガン男のmitakosamaのレビュー・感想・評価

日本一のゴリガン男(1966年製作の映画)
3.0
この辺りからクレイジー映画中期に入り若干停滞期になると定義するな。色々試行錯誤が見られる時期。
それは今作のタイトル「ゴリガン」を流行らせようとしたけど、あまり定着しなかったことが象徴してる。数多くの流行語を産んだクレイジー語録だが柳の下のドジョウが減ってきた印象が強くなった。

しかも今作はクレイジーメンバーが植木の他は桜井センリだけ。ハナも谷も皆んな出ず。
代わりに人見明と藤田まことが話の中心に。

その上、今作は一介のサラリーマンではなく、フリーランスの社員なんだよなぁ。こっちの方が今までのアイデンティティが壊れるよなぁ。
従来は、社会の組織という没個性の中で埋もれる事なく頭角を表す、というのが痛快だったのに。

会社に籍を置いて自分で仕事を取ってきて、歩合制で所場代を払う。今じゃ当たり前にあるけど当時は斬新だったのかな?先見の明があったのかも。
会社の慰安旅行にタイアップで低予算で行う、おもちゃ屋の在庫の戦車のおもちゃを自衛隊に売る、霊園の販売のためお寺ごと引っ越す。浄水器を売る、など。

しかし人見明の今までに無い活躍ぶりよ。植木等とのデュオでシビレ節を歌う宴会シーン。
おもちゃ屋にルーキー新一。
浄水器をうるコックにはなんと田中邦衛!浄水器の試しにオシッコ飲ませるシーンは不快だよなぁ(笑)。

会社社長(進藤英一郎)が議員も兼ねているせいで会社が赤字。浄水器を砂漠国家に売り、借金ある自社まで売っちゃう。

今までは社内で出世して、「皆んな丸ごと面倒みるヨゥ」だったのに、会社も売っちゃって完全に個人主義に徹しちゃう。

結婚相手の社長令嬢(浜美枝)に尻にひかれ、女房がゴリガン女となるオチ。これ以降は女房に頭が上がらない設定も増えていく。

仕事に恋に大ハリキリ、という高度成長に翳りが出る世相が、映画にも影を刺し始めた。そんな印象かな。
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